高級感のある家とは? 上質な空間を演出する素材と設計術

「高級感のある家にしたい」──そう考えたとき、何を思い浮かべますか?
広いリビング、重厚な外観、ハイグレードな設備…。
けれど、本当の高級感とは、単に「豪華な仕様」や「高い素材」だけで生まれるものではありません。
素材の質感・空間のゆとり・照明の計画・生活感の抑え方など、設計の“引き算”の妙によってこそ、住む人の品位がにじみ出る空間が完成します。
このコラムでは、「高級感のある家づくり」の本質を、素材選びと設計術の観点から具体的に解説します。
1|素材の質感が“空気の質”を変える
高級感のある空間は、見た目以上に「触れたとき」「すれ違ったとき」に感じる空気感が違います。その差を生むのが、本物の素材です。
■ 無垢材・石・タイルの重厚な存在感
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無垢のフローリングは経年変化も美しく、空間に温もりと深みを加えます。
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玄関・水まわり・リビング壁面に天然石や大判タイルを使うと、ホテルのような質感に。
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天井や造作家具には、木の木目や金属素材など「本物素材の使い分け」が効きます。
▶ ポイントは、“高価な素材を使う”のではなく、“質感のある素材を選ぶ”こと。
2|高級感をつくる設計術|“余白”のある空間づくり
本当に高級な家は、家具やインテリアが主張しすぎません。
空間に「余白と静けさ」があることで、訪れた人に落ち着きと洗練を感じさせます。
■ ゆとりのある寸法計画
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廊下幅を標準より10cm広くするだけで、歩いたときの印象がまったく違います。
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天井高を場所によって変える“メリハリ設計”で、開放感と包まれ感を両立。
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ドアや収納の高さ・巾木・框の納まりまで整えると、空間の完成度が一気に上がります。
■ 光と影を操る設計
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間接照明・ダウンライト・スリット窓など、光を“照らす”ではなく“演出する”考え方。
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大きな窓よりも「狙った位置から自然光を切り取る」ことで、静かで美しい空間になります。
▶ 「足し算の豪華さ」よりも、「引き算の上質さ」が本物の設計です。
3|生活感を隠す収納・動線設計
どれだけ美しい空間も、生活感があふれてしまえば一気に“普通の家”に見えてしまいます。
高級感のある家に見せるには、「見せる部分と隠す部分を分ける設計」が不可欠です。
■ パントリー・シューズクローク・家事動線の設計
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キッチン横に大型のパントリーやカップボードを設けることで、生活用品は“隠す収納”へ。
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玄関からシューズクロークを通って、脱衣・洗面所へ抜ける裏動線で、生活の表情を分離。
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ゴミ箱・掃除道具・洗濯スペースもすべて裏側に集約すると、“整った空気感”を保てます。
▶ 暮らしやすさ=美しさ。動線設計こそが“隠れた高級感”の土台になります。
4|統一感ある色と素材のコーディネート
高級感を生み出す家は、色・素材・ライン(線)に一貫性があります。
■ よくあるNG例
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壁紙に柄が多すぎて落ち着かない
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キッチンは黒、床は明るいナチュラル、建具は白…バラバラでチグハグ感
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目立たせたい部分が複数あって、どこに視線を向ければいいか分からない
■ 高級感を出す基本ルール
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色数は「3色まで」に抑え、素材ごとの“主役”を決める
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窓枠・巾木・ドアノブなど細部のパーツにも気を配る
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「床・壁・天井」の素材を連続性あるラインでまとめると空間が広く見える
▶ 整った色と素材こそが、「空間に一体感=高級感」を生み出します。
まとめ|“高級感”とは「本質を大切にすること」
高級感のある家とは、単にお金をかけた家ではありません。
素材選び・照明計画・空間の余白・収納設計・色の整合性──細部に宿る“本質へのこだわり”こそが、上質な住まいを形づくります。
それは「見せびらかすための家」ではなく、“心が静かに整う家”。
住む人の価値観や美意識がにじみ出る、そんな空間を私たちはご提案しています。